IIRに急峻なカットオフ特性を持たせたい場合、Biquadの縦続接続がよく用いられます。その場合、トータルの振幅特性はそれぞれのBiquadの特性を加算したものになります。

IIRフィルタの係数が以下のような場合を考えましょう。Biquadの4段縦続接続です。

これは1st Biquad単体の周波数特性です。

これは2nd Biquad単体の周波数特性です。

これは3rd Biquad単体の周波数特性です。

これは4th Biquad単体の周波数特性です。

トータルの周波数特性はそれぞれのBiquad特性の和となり、以下のように急峻な振幅特性になります。この場合、例えば2kHzのゲインは-3dBです。

もう一度1st Biquadの周波数特性を見てみましょう。このBiquadは2kHz付近に+10dB近いゲインがあるため、入力(2kHzの正弦波)が大振幅ならば出力は‐32768〜32767(16ビットの場合)で飽和します。

その後のBiquadで2kHzは減衰し、トータルでは-3dBになるはずです。しかし、1st
Biquadで頭打ちになった分振幅は小さくなり、振幅特性が理論とは違ってきます。
この現象を避けるにはBiquadの順番を入れ替えてください。たとえば以下のようにすれば、振幅・周波数によらず飽和しません。

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