コラム21 日経平均株価のトレンドを見やすくする移動平均 ●株の世界でも使われているデジタルフィルタ インターネットのポータルサイトにはたいてい、「株価」や「ファイナンス」の項目があり、クリックすると「日経平均株価」のグラフが出てくると思います。それをよく見ると日々の終値に加えて13-Week MA、26Week MAといった線が書かれているでしょう(図2-17)。それらは移動平均(Moving Average)とよばれ、近々の13週、26週の平均を取ったものです。 図2-17 日経平均株価とその移動平均線(Yahooファイナンスより) 図2-17における赤や緑の線を見ると長期的な基調、例えば今年一年は上げ基調だった、下げ基調だったなどが分かりやすくなります。このように移動平均は株の世界では不可欠な処理です。 ●移動平均はFIR型のLPFである 移動平均は一定期間の平均を取るだけですが、これでも立派なデジタルフィルタです。タイプ的にはFIR(Finite Impulse Response、有限インパルス応答)型、特性的にはLPF(Low Pass Filter、低域通過フィルタ)になります。 移動平均がなぜLPFになるのかは感覚的に分かるでしょう。1週間平均すれば2,3日の変動は消えてしまいます。1ヶ月平均すれば1、2週の変動は消え、低域通過特性がより顕著になるからです。 また平均する期間が長くなれば、それだけ過去の株価の影響を受けることになります。したがって遅延量が大きくなります。図2-17を見ればそれを実感できることでしょう。 目次へ戻る |