コラム05 サンプリング周波数/量子化ビット数とは


■サンプリング周波数とその決め方

 子供の頃、何かの温度を測って記録した人は多いかもしれません。その際は1日何回測ったでしょうか?細かく測るに越したことはありませんが、面倒ですし、記録するデータ量が増えて大変です。


●その目的によって測定頻度は変わってくる

 春から夏にかけて気温がだんだん上がってくる・・・そして秋から冬にかけてだんだん下がってくる・・・この現象を確認するためでしたら1日1回、昼の12時に測る・・・これで十分かもしれません。
 それに対し、エアコンのON/OFFよる部屋の暖まり方/冷え方を見たい・・・火の強さと水の温度の関係を見たい・・・というのならもっと細かく、例えば1分おきに温度を測る必要がありそうです。


●音声なら1秒に数万回測る必要がある

 このように目的に合わせて、温度を測る頻度を決める必要があります。この頻度が「
サンプリング周波数」に相当します。例えばCD(Compact Disc)の場合、サンプリング周波数は44.1kHzなので1秒間に44100回、音圧(マイクからの電圧)を測ることになります。
 音圧の変化は温度の変化に比べて非常に速いので、これくらいの頻度で測定しないと細かい変化を取りこぼしてしまいます。


●サンプリング周波数は高すぎず低すぎず

 かといって1MHzといった必要以上に高い周波数でサンプリングすると、高速で大規模な回路が必要になります。
人が聞こえる音の周波数はせいぜい20kHzなので、そこまで高くする必要はないのです。



■量子化ビット数とその決め方

 また、温度はどれくらいの精度で測る必要があるでしょうか?これも細かいに越したことはありません。しかし小数点以下2桁、3桁まで測ろうとすると、精密な温度計が必要になり、また記録するデータ量も増えます。


●その目的によって精度は変わってくる

 外出するのにもう一枚重ね着するべきか・・・それを知るだけなら温度の小数点以下まで測る必要もないでしょう。
 それに対し、人間の体温などは1℃違うだけで体調が大きく変わるので、小数点以下の値も知る必要があります。


●音声なら数万段階の精度が必要になる

 したがって測定の精度も目的に合わせて変える必要があります。この精度が「
量子化ビット数」に相当します。例えばCDの場合、量子化ビット数は16ビットなので音圧を2^16 = 65536段階に細かく割り当てます。


●目的に合った量子化ビット数にする

 あなたのパソコンには「WAV」という拡張子のファイルがたくさん入っているでしょう。それらの中には8ビットで量子化したものがあります。再生すると音の細部が失われていますが、パソコンの起動音や警告音などはその程度の音質で問題ないと思います。
 一方、音楽を鑑賞する場合、8ビットの音質では物足りないと感じるでしょう。したがってCDにおいては量子化ビット数は16となっています。
 ビット数を増やせば増やすほど高音質になりますが、そのためには精密な回路と大きめのメモリサイズが必要になります。


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