6-01 バタワース型HPF(2次)を設計しよう

■アナログ基準LPF

 IIRフィルタの特性には「
バタワース型」、「チェビシェフ型」などがありますが、本節では前者を設計します(後者は次節で)。

 第一段階は「
アナログ基準LPF」を設計します(*1)。バタワース型の場合は図A-1(a)のような特性になります。

(*1)今回はHPFを設計するが、それ以外、LPF/BPF/BRFを設計する際でも最初はアナログ"LPF"になる。


●AcとNの値から伝達関数が決まる

 
表A-1(a)にバタワース型アナログ基準LPFの伝達関数 H(p) を示します。このように H(p) は1次または2次伝達関数の積で表されます。なお通常ラプラス演算子は"s"で表されますが、ここでは便宜上"p"と表すことにします。
★参考文献
●EXCELで計算しよう

 表A-1(a)に基づいて、次数が
のバタワース型アナログ基準LPFを設計します(同表でN=2, Ac = 3)。適当なEXCELのA1セルに、
=SQRT(10^(3/10) - 1)
 と書き込みます(図6‐01)。これがεの値で、隣のB1セルにはepsと書き込んでおきましょう。

  図6-01 A1セルはε

 次はd0の値を計算します。A2セルに次のように書き込みます。
=A1^(-1/2)
 隣のB2セルにはd0と書いておきましょう(図6‐02)。

  図6-02 A2セルはd0

 その下、a1 (ai、i = 1)は図6‐03のようにA3セルに、
=2*A2*SIN(1*PI()/(2*2))
 と書き込み、隣にa1と書き込みます。

  図6-03 A3セルはa1

 最後に b1 を計算します。図6‐04のようにA4セルに、
=A2^2
 と書き込み、隣にb1と書きます。

  図6‐04 A4セルはb1

 以上からアナログ基準LPFの伝達関数 H(p) は式5‐01のようになります。
式5‐01 Ac=3.0、N=2の場合こうなる

●アナログフィルタの特性を計算するEXCELファイル

 上式の周波数特性を見てみましょう。このサイトにあるEXCELを開き、f-responseシートに図6‐05のように係数を入力します。また、READMEシートのB4セル(F特計算開始周波数、図6‐06)を0.01としておくとよいでしょう。

  図6‐05 D列に式5‐01の係数を入れる


  図6‐06 周波数特性の計算開始周波数を0.01にする

次のページへ

目次へ戻る