6-01 バタワース型HPF(2次)を設計しよう(続き)

●カットオフ角周波数は1rad/s

 f-responseシートの右端に周波数特性があります。0.16Hz(角周波数 1rad/s)で-3dBになっており、図A-01(a)と一致していることを確認しましょう。

  図6‐07 これがアナログ基準LPFの特性(
横軸を適当に調整した)

プリワーピング

●あらかじめカットオフ周波数をずらしておく

 プリワーピングとはカットオフ周波数を意図的にずらす手法です(なぜこのようなことを行うかは後述します)。式A-02 にその式。

●具体的にプリワーピングしてみる

 設計するデジタルフィルタのサンプリング周波数を44100Hz、カットオフ周波数fc=
4000Hzとします。その際、アナログフィルタに要求されるカットオフ角周波数Ωcは、EXCELファイルのC1セルに次式を書き込んで、
=2*44100*TAN((2*PI()*4000)/(2*44100))
 計算結果は図6‐08のように25836 rad/sになります(*1)。D1セルにomegacと書いておきましょう。

(*1)周波数だと4111Hz。プリワーピングのおかげで高いほうにずれている。

  図6-08 C1セルはΩc

■周波数変換

 表A-2(b)はアナログ基準LPF→アナログ
HPF周波数変換表です。先ほど求めた基準LPFは2次式だったので下段に倣って計算します。
★参考文献

●EXCELで周波数変換してみる

 式5-01では a=1.416, b=1.002 になっています。EXCELのE1セルには、
=A3*C1/A4
 このように記します。隣のF1セルにはA1と書いておきましょう(図6‐09)。

  図6-09 E1セルはA1

 その下のE2セルでB1を計算します。
=C1^2/A4
 と書き込み、またその下のH1は1とします。

  図6-10 E2, E3セルはB1, H1

 周波数変換後のアナログHPFの伝達関数は次式のようになります。
式5‐02 A1, B1, H1を表A-2(b)に適用

●アナログフィルタの特性を計算するEXCELファイル

 上式の周波数特性を見てみましょう。このサイトにあるEXCELを開いてf-responseシートに図6‐12のように係数を入力します。また、READMEシートのB4セル(F特計算開始周波数、図6‐13)を205としておくとよいでしょう。

  図6‐12 D列に式5‐02の係数を入れる


  図6‐13 周波数特性の計算開始周波数を205にする

 f-responseシートの右端に周波数特性があります。高域通過、4100Hzで約-3dBになっており、正しく周波数変換されていることが分かります(*2)。

(*2)プリワーピングによりカットオフが4000Hz→4111Hzになる。カットオフがナイキスト周波数(22050Hz)に近づくほど「ずれ」は大きくなる。

  図6‐14 カットオフが4100Hzの
HPFになった!

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