コラム25 インパルス応答をDFTして周波数特性を求めることもできる


 コラム24では図2-73に示すステップで周波数特性を求めていました。しかしここではZ変換を介さず、DFTにより求める方法を説明します。



 図2-73 コラム24ではこの方法を使った


 インパルス応答h[n], n = 0, 1, 2, ... N-1をZ変換すると、



 ここでとおくと、周波数特性が得られます。



 上式の角周波数ωを式1-5の右辺で置き換えると次のようになります。

ここで k = 0, 1, 2, .... N-1 式2-20


●インパルス応答→周波数特性はDFTを使ってもできる

 上式をよく見るとDFTの定義式(式1-3)と同じです。すなわち、
インパルス応答をDFTすると、そのデジタルフィルタの周波数特性になるということです。DFTの結果(スペクトル)は、その周波数特性を等間隔(Fs/N、Fsはサンプリング周波数、Nはインパルス応答の数)でサンプリングした値に対応します(図2-74)。




 図2-74 インパルス応答のDFTは周波数特性を離散化したものに等しい


周波数特性→インパルス応答は逆DFTを使えばよい

 逆に周波数特性が分かればそれを「
逆DFT」(式1-4)することによりインパルス応答を求めることができます。FIRフィルタの係数はインパルス応答に等しいため、その設計に逆DFTがよく用いられます。

 式1-4のx[n]をh[n]に変更したものを次に示します。

ここで n = 0, 1, 2, .... N-1 式2-21

コラム26にFIR係数の導出方法、コラム27でその実習をします。


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