6-02 チェビシェフ型HPF(2次)を設計しよう

■アナログ基準LPF

 前節では「バタワース型」を設計しましたが、本節では「
チェビシェフ型」を設計します。

 第一段階は「
アナログ基準LPF」を設計します。チェビシェフ型の場合は図A-1(b)のような特性になります。バタワースとの違いは通過域にリップル(うねり)があることです(*1)。

(*1)通過域リップルがある代わりに比較的急峻な減衰特性を持つ。本節の最後でその辺り確認

●AcとNの値から伝達関数が決まる

 
表A-1(b)にチェビシェフ型アナログ基準LPFの伝達関数 H(p) を示します。このように H(p) は1次または2次伝達関数の積で表されます。なお通常ラプラス演算子は"s"で表されますが、ここでは便宜上"p"と表すことにします。
★参考文献
●EXCELで計算しよう

 表A-1(b)に基づいて、チェビシェフ型アナログ基準LPFを設計します。次数
N=2、通過域リップルAc=1.5とします。適当なEXCELファイルのA1セルに、
=SQRT(10^(1.5/10) - 1)
 と書き込みます(図6-31)。これがεの値で、隣のB1セルにはepsと書き込んでおきましょう。

  図6-31 A1セルはε

 次はthetaの値を計算します。A2セルに次のように書き込みます。
=(1/2)*ASINH(1/A1)
 隣のB2セルにはthetaと書いておきましょう(図6-32)。

  図6-32 A2セルはtheta

 その下、delata1 (deltai、i = 1)は図6-33のようにA3セルに、
=-SINH(A2)*SIN(1*PI()/(2*2))
 と書き込み、隣にdelta1と書き込みます。

  図6-33 A3セルはdelta1

 最後に w1, a1, b1, H0 を計算します。図6-34のようにA4〜A7セルに、
=COSH(A2)*COS(1*PI()/(2*2))
=-2*A3
=A3^2+A4^2
=1/SQRT(1+A1^2)
 と書き込み、隣のセルに w1, a1, b1, H0 と書きます。

  図6-34 A4〜A7セルは w1, a1, b1, H0

 以上からアナログ基準LPFの伝達関数 H(p) は式5‐11のようになります。
式5‐11 Ac=1.5、N=2の場合こうなる

●アナログフィルタの特性を計算するEXCELファイル

 上式の周波数特性を見てみましょう。このサイトにあるEXCELを開き、f-responseシートに図6-35のように係数を入力します。また、READMEシートのB4セル(F特計算開始周波数、図6-36)を0.00398としておくとよいでしょう。

  図6-35 D列に式5‐11の係数を入れる


  図6-36 周波数特性の計算開始周波数を0.00398にする

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