6-02 チェビシェフ型HPF(2次)を設計しよう(続き)
●カットオフ角周波数は1rad/s
f-responseシートの右端、周波数特性を見てみます。低域は-1.5dB程度、そして0.1Hz付近で一旦-0dBとなり、以降は減衰していきます。角周波数
1rad/s(周波数 0.1592Hz)で-1.5dBになっており、図A-01(b)と一致していることを確認しましょう。 |
図6‐37 これがアナログ基準LPFの特性(横軸を適当に調整した)
■プリワーピング
●あらかじめカットオフ周波数をずらしておく
プリワーピングとはカットオフ周波数を意図的にずらす手法です(なぜこのようなことを行うかはここ)。式A-02 にその式。 |
●具体的にプリワーピングしてみる
設計するデジタルフィルタのサンプリング周波数を44100Hz、カットオフ周波数fc=4000Hzとします。その際、アナログフィルタに要求されるカットオフ角周波数Ωcは、EXCELファイルのC1セルに次式を書き込んで、
=2*44100*TAN((2*PI()*4000)/(2*44100))
計算結果は図6‐38のように25836 rad/sになります(*1)。D1セルにomegacと書いておきましょう。
(*1)周波数だと4111Hz。プリワーピングのおかげで高いほうにずれている。 |
図6-38 C1セルはΩc
■周波数変換
表A-2(b)はアナログ基準LPF→アナログHPF周波数変換表です。先ほど求めた基準LPFは2次式だったので下段に倣って計算します。 |
★参考文献
●EXCELで周波数変換してみる
式5-11では a=0.9222, b=0.9252 になっています(*2)。EXCELのE1セルには、
=A5*C1/A6
このように記します。隣のF1セルにはA1と書いておきましょう(図6‐39)。
(*2)分子は0.7785 = 0.8414 x 0.9252なので上表の H1 に後々0.8414を乗算する。 |
図6-39 E1セルはA1
その下のE2, E3セルでB1, H1を計算します。
=C1^2/A6
=1*A7
と書き込みます。H1は上表では1ですが、(*2)で述べたように0.8414を乗算します。 |
図6-40 E2, E3セルはB1, H1
周波数変換後のアナログHPFの伝達関数は次式のようになります。 |
式5‐12 A1, B1, H1を表A-2(b)に適用
●アナログフィルタの特性を計算するEXCELファイル
上式の周波数特性を見てみましょう。このサイトにあるEXCELを開いてf-responseシートに図6-42のように係数を入力します。また、READMEシートのB4セル(F特計算開始周波数、図6-43)を205.6としておくとよいでしょう。 |
図6-42 D列に式5‐12の係数を入れる
図6-43 周波数特性の計算開始周波数を205.6にする
f-responseシートの右端に周波数特性があります。高域は通過域でリップル-1.5dB、また4112Hzで約-1.5dBになっており、正しく周波数変換されていることが分かります(*3)。
(*3)プリワーピングによりカットオフが4000Hz→4111Hzになる。カットオフがナイキスト周波数(22050Hz)に近づくほど「ずれ」は大きくなる。 |
図6-44 周波数変換でHPFになる。バタワース型と比べてみよう
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